金融市場 2007 10 20
いわゆる「サブプライム問題」が引き起こした金融市場の問題に関しては、
(サブプライム派生問題?)
日本の金融市場は、軽傷に終わったと言えるでしょうが、
欧米の金融市場には、二つの懸念があるでしょう。
ひとつは、「格付けが信じられなくなった」という声を聞きます。
しかし、これには、疑問を感じます。
そもそも、投資家にとって、格付けというものは、参考程度のものでしょう。
格付けに頼る投資家は、本当の投資家とは言えないと思います。
本当の投資家とは、投資するに際して、自分で調べて、自分で判断すべきものです。
次に、信用不安、あるいは信用収縮の懸念です。
これは、経済的な問題だけでなく、心理的な問題も大きいと思います。
心理的な問題は、どう解決すべきか。
これが、なかなか難しいでしょう。
人間というものは、楽観的になると、過剰なほど楽観的になり、
不安になると、過剰なほど不安感を持ちやすいのです。
このように、人間心理は、振幅が大きくなる傾向があります。
しかし、やがて、振幅は、適度な量に戻るでしょう。
結局は、時間が解決するまで待つしかないかもしれません。
(参考)
「運動会の格付け」、「短期金融市場」
運動会の格付け
日本では、9月中旬から10月上旬が、運動会シーズンです。
そこで、このような話を作ってみましょう。
小学校の運動会における母と子(A君)の会話です。
母「運動会の50メートル競走、最後まで、あきらめずに頑張ってね」
子「僕は、1番になるよ」
母「ええっ。うちの子は、足が遅いのに、どうして。
足が速くなったの?」
母親が気になって調べてみると、学校の配慮があった。
運動会という「晴れの舞台」なのに、
足の速い子供は、いつも早く、いつも1等賞、
足の遅い子供は、いつも遅く、いつもビリ。
親が見に来ているのに、これでは、かわいそうと思って、
子供の運動能力に格付けをした上で、グループ分けをして、
せっかくの「晴れの舞台」で大活躍できるようにした。
足が速い子供は、足が速い子供同士で集めて、
50メートル競走を走らせる。
足が遅い子供は、足が遅い子供同士で集めて、走らせるのです。
こうすれば、運動会で、万年ビリだった子供も、
1等賞になる可能性が出てくるのです。
A君も、運動会では、いつもビリになる可能性が高かったのですが、
生まれて初めて、50メートル競走で1等賞になりました。
「1等賞になった」と喜ぶ子供、
50メートル競走の新ルール(からくり)を知っていても、
「何だか、うちの子供は速くなった(錯覚)。
うちの子供の格付けは、1番になった(これも錯覚)」と喜ぶ母親。
このような格付け(からくり)ならば、美しい風景になりますが、
万が一、金融商品において、こうした格付け(からくり)が行われると、
大いなる誤解を招くでしょう。
短期金融市場 2007 10 7
何となく、堅苦しいテーマとなってしまいましたので、
専門家からは、異論が出るかもしれませんが、
話を面白く、楽しく進めましょう。
そういうわけで、多少、デフォルメします。
銀行には、お金があるか?
こう聞くと、「銀行には、お金が、たくさんある」という答えが返ってきます。
しかし、「銀行には、お金がない」という答え方もあるのです。
極端なことを言えば、銀行に、お金がないのは、自然であると言えるでしょう。
たとえば、あなたが銀行家だとします。
そして、預金を100億円集めたとします。
この100億円を、大事に金庫にしまっておくと、どうなるか?
もちろん、銀行は、赤字になります。
預金には、利子をつける必要があります。
その利子は、あなたのポケットマネーから出しますか?
そうすると、あなたは、破産してしまいます。
また、銀行員には、給料を支払う必要もあります。
だから、100億円を大事に金庫にしまっておくと、
銀行は、赤字になってしまいます。
この100億円をうまく運用して、せめて110億円ぐらいにしたい。
なるべくならば、全額、運用したいが、
日々の「窓口での支払い」もあるので、「ある程度の現金」は残す必要がある。
しかし、この「ある程度の現金」は、なるべく少なくして、
より多く運用資金に回したいというのが、投資家の本性でしょう。
そういうわけで、銀行には、「お金がない」ということも、あり得るのです。
でも、世の中、便利にできているものです。
銀行同士、同じような事情を抱えていますから、
お互いに助け合いましょうということになります。
その助け合いの場が、短期金融市場と言えるでしょう。
「ある程度の現金」と言っても、
中小の銀行に比べれば、大銀行の場合、巨額の現金になるでしょう。
もちろん、中小の銀行だって、たまたま手元に巨額の現金がある場合もあるでしょう。
こうした現金を、銀行同士で融通すれば、当座の資金に困ることはないでしょう。
ただし、どこの銀行で資金が余っていて、どこの銀行で当座の資金が不足しているか、
なかなか、うまく、かみ合わない、つまり、うまく、お見合いができない。
そういう場合もあるでしょう。
そこで、仲人が、つまり、仲介人が必要となるのです。
それが、短資会社という、あまり聞きなれない会社です。
これで、役者が全部揃ったから、万事解決というわけには行かなくなったのです。
最近まで、日本では、量的金融緩和策というものがあって、
要するに、市場に資金がジャブジャブ溢れているような状態でしたから、
「短期資金(当座の資金)なんて、いつでも調達できる。
短資会社なんて不要かもしれない」という雰囲気があったのです。
そういうわけで、「短期資金の調達は、新人の仕事」とまで言われるようになったのです。
「いや、派遣社員でも、できる」と言う人もいたかもしれません。
しかしながら、こうした仕事は、本来は、ベテラン行員の仕事だったのです。
当座の資金をやり繰りするのは、意外に難しいでしょう。
家計だって、ベテランの主婦だったら、うまくできても、
新米の主婦では、当座の資金のやり繰りに失敗して、
次の給料日まで、お金がないので(定期預金はある)、
実家の母親(大銀行?)に、当座の資金を借りることもあるでしょう。
日銀が量的金融緩和策を止めた以上、そして利上げが続けば、
短期金融市場で、資金が窮屈になることがあるかもしれません。
場合によっては、「あの銀行は、経営が怪しい」という風評が出ると、
いくら仲人役の短資会社が頑張っても、
「資金の出し手がいない」という事態もあるかもしれません。
今のところ、日本では、そういう事態は想定できないですが、
外国では、あり得るか、実際にあったかもしれません。
本来、資金はあっても、当座の資金(現金)がない。
あるいは、変な噂が出回って、預金者が窓口に殺到して、預金を引き出す。
銀行は、通常、預金者から預かった資金を運用に回していますから、
手元に現金はない、さあ、どうする?
手っ取り早い方法は、窓口を閉めてしまう。
でも、これをやると、銀行は倒産してしまうかもしれない。
そこで、次善の策を取ることになるでしょう。
銀行の裏口を見ると、中央銀行の現金輸送車から、現金を運び入れていた。
もちろん、こうした話は、最初に書いたように、
読者が興味を持つように、デフォルメして書いてあります。
そういうわけで、事実と違いますので、注意してください。